毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「もー!なんで人のことだと急に積極的になんのよ!」

「えー?」

「自分のことは一生うじうじしてるくせに」

「えー、ニカひどぉーい。せっかく誘ってあげたのに」

「そ…それは…」

「ニカってば結局強がって誘えないんじゃないかなって思ったからさ」

「…ありがと」

「どーいたしまして!」

ニカのため、なんて言って本当は…、
目の前でかっちゃんとこころちゃんのことを見ているのが辛かったからだ。

だから私はまた逃げた。
自分の恋と向き合うことから。

「ゆめ、どゆこと?」

横にいたゆうれいが腕を組んで私に問い詰めてくる。
全然納得してない表情だ。

「ごめん。そういうことだから、花火大会付き合ってよね」

「だからそれがどーゆうことだって…!」

「もー!ゆうれいってば鈍感!ニカ、いい?」

「え…うん、もういいよ。ここまで来たら…」

「だから、ね?ニカと黒崎くんは小学生の頃からの幼馴染で、両思いだったの!」

「いや両思いでは…!」

「はいはい、もうニカもいーから!で、素直になれない二人を応援しようキャンペーンなの!分かった?」

「マジ?」

「マジ」

「マジかー」

ゆうれいがジッとニカを見る。
恥ずかしいのか、ニカは「もう行くから!」って私達に手を振って帰っていった。
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