毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「そんな嫌なこと言ったりしなくても忘れるわけないじゃん」

「親友だから?」

「そう…だよ…」

「ゆめはさ、友達なら壊れないって思ってるでしょ?」

「うん…」

「でも友達のままじゃダメなこともいっぱいあるって気づいてるよね?だから俺は壊そうとしてるし、俺だけの特権が欲しいって思ってるよ。ゆめとそういう関係になれたとして、今みたいに言い合ったりできる関係もいいなって思うけどさ、もっとドキドキしたり意識して欲しいなー」

「…よくそんなこと平気で言えるね。恥ずかしくないの」

「だったらゆめは全然、俺を分かってない」

こんなこと言うたびにドキドキして死にそうなのに、ってハニかんで、ゆうれいは伝票を取って立ち上がった。

かっちゃんに言われたかった言葉を全部、ゆうれいが奪っていく。

女の子として見られたかったのも、
自分を意識してって言われたかったのも、
私には全部かっちゃんだった。

かっちゃんにならどんなに傷つけられてもバカな思考で美化して、どんな言葉でもずっと大事にしていくんだと思う。

そんな滑稽な私に、ゆうれいは愛想を尽かしてしまえばいい。

じゃなきゃいつまでも傷つき続けるのはゆうれいな気がして怖かった。
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