毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「ほんと、ゆめは酷い子だよね。最低でもいいよ。そう仕向けたのは俺だから。もっと最低になってよ。それで風にも愛想尽かされてさ、俺しか居なくなっちゃえばいいのに」

「なんでそんなこと言うの…」

「早く俺だけになって…ね、だめ?これがイケナイことならさぁ、一緒にダメになろ?好きだよ…」

「そんな風にはならない…!もうこれで終わりだから。自暴自棄になってただけだから。ゆうれいは親友だから…壊したりしない」

「もう遅いよ」

囁くように言ったゆうれいの声が耳の奥で鳴っているみたいだった。

明日から、かっちゃんにどんな顔をして会ったらいいんだろう。

かっちゃんは私にどんな顔で笑いかけるんだろう。

変わってしまった私とゆうれいに気づくかな。

こんなことがバレてしまったら、
かっちゃんへの当てつけに親友を利用したこと、
かっちゃんは絶対に許さない。

私とゆうれい、二人だけの秘密にしてしまえば、なんてまたずるいことを思った。

本当に好きだった人を失くしてしまっても、誰よりも強く私を想ってくれるひとが居るんだって事実が、
時間を追うごとに毒を植え付けていく。

戻れなくなる前にゆうれいを拒絶しなきゃ。

かっちゃんへの親愛を忘れてしまう前に。
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