毒で苦い恋に、甘いフリをした。
その日、ゆうれいは結局午後からも登校しなかった。

明日、怒られてしまうかもしれないことなんて全然平気だって笑った。

翌日、ホームルームの前に担任に呼び出されたゆうれいは現にあっけらかんとしていて、

挙げ句の果てには呼び出されたことを咎めるかっちゃんの前で、「人生で一番幸せな時間だったし」なんて私に囁いた。

…やっぱり絶対に許さない!

「結芽、体調大丈夫なの?」

ホームルームが終わって、かっちゃんが私の席に来てくれた。

昨日、朝から早退したことをニカに謝っているときだった。

私が本当に体調不良だったなんてニカは信じていない。

それなのに私を叱ったりしないで、
「許すのは今回だけだからね?」って言ってくれた。

撫でてくれた手のひらがあったかくて、
罪悪感で胸がギュッてなった。

「うん。もう大丈夫。ごめんね、心配かけて」

「いや。一昨日の美術も体調悪くて欠席しただろ。気づけなくてごめん」

「なんでかっちゃんが謝るの!もう大丈夫だから」

かっちゃんが心配してくれるたびにいっそ本当のことを言ってしまおうかと思ってしまう。

本当は失恋してここに居るのがキツかったんだよって、
みんなを騙してゆうれいとイケナイことしてたんだって…。
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