毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「私はいいよ。みんなと一緒に行きたいな」

「こころちゃん!?」

「ごめんね、お話聞こえちゃった。みんなのお邪魔じゃなかったら一緒に行ってもいい?」

「や…、こっちこそいいの?私達が邪魔じゃないかな?」

「ううん。風くんと付き合えることになったけど、仲良いみんなから私は浮いてるなって思ってたから…。仲良くなれるきっかけになったらうれしいし」

「それなら良かった!直前になってやっぱり二人で行きたくなったら断ってくれてもいいから。また連絡するね」

「うん。よろしくね」

一時間目が始まるチャイムが鳴った。

ニカが私の手をスッと話して自分の席に戻っていった。
何かを言いたそうな目をしている。

現に「後でね」って耳元で囁かれたし。

なんなら話に入ってこなかったけれど、ゆうれいも自分の席からずっとこっちを見ていた。

私は相変わらずゆうれいには厳戒態勢を張っている。

もう失恋したんだし、
あんなことしちゃったんだから意味なんてないんだけど。
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