毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「そうだよ」

「えー?」

「最近かまってくんないから拗ねてんの………って言ったらどーすんの」

「あはは。素直な結芽は珍しいからそれは胸キュンものですね」

「そんなこと言ったらこころちゃんが傷つくよ」

「…なんで?俺と結芽の関係性からの言い合いなんてこころも慣れてんじゃん」

何よ…。私とかっちゃんの関係性なら言い合っても許されることって。

私の気も知らないで。
っていうか、こころちゃんに対しても失礼だから!

大好きなひとと付き合えたからって調子に乗ってるんだったらムカついちゃうんだから…。

「冗談じゃなかったらどーすんの?」

「冗談じゃないって?」

「私が…本気でかっちゃんを異性として好きで、最近は相手にもしてもらえないから拗ねてて、それでかっちゃんに彼女ができたから失恋しちゃってて…そしたらどーすんの」

口から心臓が飛び出しそうだった。
気持ち悪い。
言葉を重ねるたびに吐きそうになる。

「だったら俺、怜に恨まれちゃうな」

「は…ゆうれい…?」

かっちゃんが口角を上げて笑った。
目は笑ってない。

「そんな素振り1ミリも見せなかったくせに嘘がヘタだな。俺らのこと冷やかしたいだけなのバレバレですよー」

「かっちゃん…」

「そんな冗談、言わないであげて。怜を見てたら分かるだろ。結芽への気持ち」

「かっちゃん…ねぇ…!」

「そろそろちゃんと向き合ってあげてもいいんじゃない?だから俺も自分の恋愛を頑張ったんだし」

「どういうこと…?」

「怜が不安そうにしてるからだよ。俺と結芽を見て。俺さー、あいつが思うよりもあいつのこと大事なんだよね。結芽のことも。だから俺が自分のこと頑張れば、怜も動き出せるのかなーって思ってさ。だから結芽もちょっとはあいつのこと見てあげてよ」
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