毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「別に…」

「ニカちゃんに俺らのことバレたくないんだろ?分かってるよ。でも泣いた理由まで隠す必要ないじゃんか。俺のせいだって言えばいい。俺が怖いことばっかしてくるからだって言えばいいだろ」

「怖いことってなによ」

「キスとか!して欲しくないことばっかしてくるから嫌だって言えよ!隠されるくらいならはっきり口で拒絶されたほうがマシなんだよ。無かったことにすんな…。マイナスの感情でもいいから俺のことちゃんと…」

「違うの!」

ゆうれいが私の手を握るちからが弱くなったから、左手でゆうれいの頬に触れた。

あからさまに眉間に皺を寄せて、私を見ている。

「期待するようなことしないでって言いませんでしたっけ!?」

「ふ…なにその言い方」

「嫌がるくせにお前は自分のいい時だけ触るとかヤバすぎ!」

「待ってって…ゆうれい。聞いて」

「なんだよ…」

「私ね、たぶん…自分で思うよりも、ゆうれいが思ってるよりも、依存してる」

「風にだろ…」

「ゆうれいに、だよ」

「は…?」
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