毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「ねー、りんごあめ食べたーい!食べたくない?」

ニカが言った。
こころちゃんもいいねって微笑んだ。

私はフルーツキャンディーが大好きだからもちろん大賛成!

男性陣はお腹空いてるって言って、ポテトとか焼きそばを買いに行った。

「じゃあ私達はあっち行こ!」

ニカが私とこころちゃんを誘導してくれる。
フルーツキャンディーの出店はいくつもあって、お店が多い分、どこもそんなに混んでいなかった。

適当なところで私達はあめを買った。

「お!おじょーちゃん達、美人さんだねー!百円ずつサービスしてあげる!」

「えーっ!いいんですかぁ?おじさん最高ー!」

さすが、恋愛経験豊富なニカだ。
これが恋愛経験と関係があるのかは分かんないけど…ノリがいい。

「私、やっぱいちごにしよーっと」

ニカはいちごあめ、こころちゃんもニカと同じのにした。

「結芽は絶対りんごあめでしょ?」

「うん。りんごあめ、だーいすき!」

「あはは。知ってる」

「おじょーちゃん、そんなにりんごあめが好きなの?」

「はいっ!お祭りは絶対にりんごあめですっ」

「あはは。かわいいね、サイズはどれにする?」

「小サイズで!」

「そんなに好きなのに小でいいのかい?」

「だって大きいと食べにくいし…」

「口の周り真っ赤になっちゃうもんねー?」

ニカが笑いながら私の口元をツンツンってした。

「じゃあこれが、小の中では一番大きいよ!」

おじさんが選んでくれたりんごあめを受け取ってお礼を言った。

いちごやぶどうは直接ざらめの上に乗せられているけれど、りんごあめはパンパンに膨らんだ透明の袋で包まれている。

買ったあめを持って、三人で写真を撮った。
こころちゃんと写真を撮るのは初めてだった。
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