毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「ニカ達もさ!最近よく連絡取ってたの?」

「黒崎と?そうだねー、高校生になってからは今が一番通話とかしてるかも」

「そうなんだ!?じゃあ私らが協力するほどでもなかったじゃんかー。ね?こころちゃん」

「うん。風くんに聞いたときはびっくりしたけど。黒崎くんってチャラいって言われてるけどほんとは菊池さん一筋だったってことだよね?」

「一筋ってことはないと思うけど…実際チャラいのはほんとだし」

「照れんなってー。ねぇ、いいからね?抜けたくなったら二人で抜けても」

「ねぇー。黒崎くんはそうしたいのかも」

「やめてってばー…てかそれなら風だってそーじゃん」

言いながら、しまったって顔をしてニカが私を見て、誤魔化すように私はこころちゃんを見て笑った。

「そうだよ!こころちゃん達だって付き合って初めての花火大会なんだから。遠慮しちゃだめだよ?」

「そしたら結芽は怜と二人だね」

「う…べっつに…私は慣れてるから」

「怜さー、なーんか前と態度違くない?結芽に対してさ」

「ンなことないから!周りがカップルだらけになってきて気ぃ遣われてんの!自分だって選ばれてないくせにさ…」

「でも柳くん、モテるよね。すごく」

「あー、まぁ顔はイイからね。すごく」

「ちょっとアホの子だけどね」

「ニカひどーい。でもそれを言ったらかっちゃんだってすごく人気なのにこころちゃんすごいよ。かっちゃん、こころちゃんに一目惚れだったんだから!」

「ほんとほんと。どんだけの女子に嫉妬されてるか分かんないよー?」

茶化すように言う私達に、こころちゃんは控えめに微笑んで、いちごあめを口の中で噛み砕いた。

バリッ…バリッって、天使みたいなこころちゃんの中から鳴る音に違和感すら感じた。
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