冷酷社長と二度目の恋~極上御曹司は、変わらない愛執で愛する彼女を離さない~
今でも君を…
【静人】
現在から、1年前。
11月
俺―――新田静人(26歳)は、約3年ぶりに日本に帰国した。
実家は、日本で有名な大手化粧品会社『プラチナライト』を経営している。
この前、俺の父親―――新田裕一(ゆういち)に癌(がん)が見つかり、手術を受ける事になった。
幸いにも癌の発見が早かったで、少しホッとしてる。
治療に専念するために親父は『社長』を引退し、今後は『会長』として『新社長』である俺をサポートしてくれる事になった。
その後、無事に親父の手術が成功して、俺も後を継いで26歳の若さで『取締役社長』になった。
話は…さらに遡り、現在から約6年前。
俺の母親――新田あさみは、俺が20歳の時に親父とはまったく違う病で倒れた。
治療も受けたが、その後…亡くなった。
母さんが亡くなる1か月前―――。
大学の帰りに母さん見舞いに行くと、母さんは俺にあるものを手渡してきた。
「母さん、これは…?」
「…裕一が私にプロポーズした時に貰った『婚約指輪』よ」
その指輪は、何年も経っているはずなのにダイヤは色褪(いろあ)せる事なく綺麗だった。
「――静人、いつか…なにを引き換えにしていいと思える本当に愛する人ができたら、この指輪をその人にあげて」
そう言って、母さんは微笑んだ。
その後、俺が21歳の時―――大学の同級生“水野心愛”と知り合い、お互いに惹かれ合うのに時間はかからなかった。
落ちた少し明るめのアッシュブラウン系のセミロング系の髪型。
心愛は周り人から見ても、美人で可愛かった。
付き合い出してしばらくしてから、今まで家族以外では唯一女の親友と呼べる俺の双子の弟で―――“新田哲也(てつや)の” 『彼女』で心愛の親友でもある―――“戸田杏(とだあんず)”にしか呼ぶのを許してなかった自分の愛称―――“静(シズ)”と時より心愛も呼ぶようになっていった。
『彼氏』の俺がいるのに、隙あらば心愛に言い寄ろうとする男は多かった。
心愛自身は、男慣れをしてるわけでもない。
男の中では、俺と哲也以外決して心を許さなかった。
むしろ、時々…言い寄る男たちに怯えていた。