冷酷社長と二度目の恋~極上御曹司は、変わらない愛執で愛する彼女を離さない~
―――そして、『あの事件』が起った。
ある日の大学の帰り。
杏から「心愛と連絡が取れない。嫌な予感がする!」と電話がかかってきた。
場所は、大学の倉庫だった。
見つけた時には、男は心愛に無理やり覆い被さっていた。
ストーカー男は俺を見た途端、心愛から離れて俺にその『なにか』で―――。
「くっ…、やめろ!」
俺が左脇腹を刺されて、冷たい床に倒れた。
再び、ストーカー男は心愛の所に戻り無理やり覆い被さって言う。
「どうして、“あいつ” なの?“心愛先輩”」
「いや…やめて、嫌―――!シズ、静人…っ!」
「…心愛…っ」
俺はそう言って、気を失った。
意識が戻った時には、病院のベッドの上にいた、
「…ごめんっ…ごめんね…っ。静人」
心愛のストーカー男に左脇腹を刺されて、傷痕が残ってしまった俺に対して心愛は泣いてずっと謝っていた。
―――『あんな事』を無理やり他の男にされて深く傷ついたのは彼女自身なのに―――。
その後、心愛は俺・哲也と杏の前から姿を消した。
俺は心愛を失った穴を埋めるかのように、大学卒業後にニューヨークに留学した。