七色の飴玉


不意に、涙が溢れてきた。

昨日は堪えてた涙が。


「…うっ…あ…」

もう、どうでもいいや。
そう思って、立ち止まって泣いた。

すると先輩はあたしが来ないのに気づき、こっちに走って来た。


「しら…」

先輩があたしを呼び終える前にあたしは先輩に背を向けて走り出した。

「白井っ!」
















走る、走る、走る。

ひたすら走り続けた。
でも、所詮男と女。
しかも先輩は陸上部。

すぐに追い付かれて、腕を掴まれた。


「はっ…離してください…っ!」

「ヤだ」

「せんぱ…「白井」

呼ぼうとしたら、遮られた。

「何で、昨日あんな事言ったんだ?」


…そんなの、分かりきってる。
好きだから。
寂しかったから。

でも言えるワケない…


「…離してください」

あたしは質問を無視した。
そうでもしないと壊れそうだった。


「優…」

また泣きたくなった。
なんで今、名前で呼ぶの?

変に、期待するじゃんか…


「優、答えて」

もう、限界だ。
あたしは半ば叫ぶように言った。





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