七色の飴玉
「…そんなの、先輩が好きだから、寂しかったからに決まってるじゃないですか!!」
言って、先輩の手を振り払って、また逃げた。
今度は学校の方に。
先輩の横をすれ違ったけど、先輩はもう追いかけて来なかった。
卒業式が始まった。
先輩もちゃんと来ていた。
卒業証書を受け取った先輩の顔は、とても凛々しかった。
卒業式の後は授業なども特にないので、すぐに帰れた。
あたしは一人で帰ろうとした。
「ゆーうーっ!」
先輩の、声。
あたしは気付かないフリをして、歩みを進めた。
すると、後ろから腕を掴まれた。
「…離してください」
「…なんで無視すんの?」
もう、涙はでてこなかった。
「…もう、あたしの事なんか忘れてください」
「…本気で言ってんのか?」
「嘘なんてつきませんよ」
嘘だ。
今だって嘘をついてる。
本気でそんな事、言える筈がない。
「優」
「………」
あたしは無視した。
もう、話したくなかった。