先輩のこと、好きになってもいいですか?
「まさか、告白とかじゃないよね……?」
「え、無理無理。そんなの考えたくないよ。わたし、入学式の日に和泉先輩を見かけた時から、先輩のこと狙ってるんだから」
「えっだよね! 私気づいてたよ、綾海が先輩のこと好きだってこと!」
2人の女子生徒は、わざと大きな声でそんな話をしている。
綾海という子は、このクラスの中で多分、いや確実に、1番可愛い女の子だ。
入学式の時からほとんどの同級生男子を魅了させていた気がする。
「う、うん……実はそうなの」
2人がわたしにちらちらと視線を送っているのが分かる。
わたしにそれを聞かせて、先輩の隣からどいてもらおうという魂胆が丸見えだ。
クラスにいた男子生徒は皆、各々が落胆の表情を浮かべていた。
きっと月岡さんにもう好きな人がいるという事実が受け入れがたかったのだろう。