先輩のこと、好きになってもいいですか?
初恋の色
今日の朝はいつもより目覚めが良かった。
目の疲れが取れて、異様に冴えているから昨日はぐっすりと眠れたのだろう。
と、まるで他人事のように寝ぼけた頭でそう思う。
部屋を出て、1階に降りる。
リビングの扉からはすでに明かりが漏れていて、お母さんかお父さんのどちらかがもうすでに起きていることを知る。
すぐに扉を開けて、リビングに入った。
そこには、わたしや芽衣、お父さんのお弁当や朝ご飯の準備をしてくれているお母さんの姿があって、わたしにちらりと視線を投げたお母さんに「おはよう」と言葉をかけてもらった。
「おはよ、お母さん。今日はやけに早いね」
目を擦りながら返事をする。
「うん。今日ね、急遽予定が入っちゃって、お母さんもうすぐ家を出ないといけないのよ。だからゆうがお父さんと芽衣を起こして、朝ご飯食べさせてくれない? あ、あと芽衣のことを幼稚園まで送ってほしいの。あと、お迎えも」
早口で端的にそう告げたお母さんは相変わらずのマシンガントークっぷりを発揮している。
「はは、大変だね。分かった、ちゃんと言われたことしとく。だからお母さんは安心して出掛けてね」
苦笑いでそう返事をした。
「うん、ありがとうゆう。ほんと、急に大きな仕事が入っちゃってね」