先輩のこと、好きになってもいいですか?


「っ、ほんと、いい加減にしろ!!!」


教育委員会に訴えるぞ!! と激情するオヤジを無視して、おれは教室を後にした。

もう、あんなところにはいたくない。


おれが向かった先は、中庭の奥。

そこが1人になりたい時に最適な場所だった。


おれだけの場所。そう思っていたから、先客がいると知った時には驚いた。


「…っぐすん、うぅ〜……」


女のすすり泣く声が聞こえる。

おれはそれを聞いてうんざりした。


あまりにもタイミングが悪すぎる。


だけど、その声には聞き覚えがある気がして。


「……っ、うう、うわぁん〜〜」


……っ、美辺?

分かった途端、すぐに影から出て行こうとした。

だけど、その前にある男が美辺の前に現れた。


……おれよりも先に。

< 58 / 69 >

この作品をシェア

pagetop