先輩のこと、好きになってもいいですか?
ああ、なんでなんだ。
イライラのせいで歯ぎしりが止まらない。
なんで美辺の側にいるのはおれじゃないんだ。
こんな感情は初めてで、驚きと戸惑いばかりがおれの心を支配する。
「ゆうちゃん、大丈夫……? 俺のことは気にしなくていいから……、ゆうちゃんが代わりに泣く必要はないんだよ」
あの朝、ゆうの隣りにいた男が吐き気がするほど優しい声で話しかける。
肩に置いたその手を離せ。
お前は美辺に触れていい代物じゃない。
胸に湧き上がる熱い塊。
これを何と言うのかは、まだ知らない。
いや、本当はもうすでに知っていた。
これは嫉妬だ。
醜い醜い、ただの嫉妬。
「……っ、くそ」
何もできないでいる自分に無性に腹が立つ。