先輩のこと、好きになってもいいですか?
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「涼太くん、みくちゃんのこと寝かせてきたよ」
「お、ありがとう。美空、今日は幼稚園でものすごいはしゃぎようだったらしいからなあ。すぐ寝たでしょ」
「ふふっ、うん。相変わらずわたしと涼太くんの美空ちゃんの寝顔は愛らしかった」
「だろうな。だって、おれが愛してやまないゆうに似たんだから」
からかうように、くつくつと笑う涼太くん。
わたしよりもずっと背が高く、体格に恵まれ、容姿にも恵まれ、神様に愛されて生まれてきたというような人。
だけど、涼太くんには両親がいない。
ずっと1人で、バイトをしながらおんぼろのアパートで暮らしてきた。
お父さんは涼太くんがまだ幼い頃に重い病で亡命、そしてお母さんは涼太くんを捨て、新しくできた再婚相手のところに行ってしまった。
それからだったらしい。
涼太くんが女の人を信じられなくなったのは。
だから、わたしだって他の人と変わらないだろうと思っていたらしいけど、わたしの涼太くんしか見えないっていうようなまっすぐな目が涼太くんの安心剤になっていたようだ。
涼太くんの言うことは未だによくわからないけどね。
でも、女嫌いだった涼太くんも、本当は誰かに愛されたかったんじゃないかって、今では思うんだ。
いや、絶対にそう。
独りぼっちで寂しい思いばかりしていたら、誰かの体温が欲しくなるのと同じように。
「ねえ、涼太くん。涼太くんは今、幸せ?」
自分の好きな人を、幸せにしてあげたい。
それはきっと、恋をしてきた誰もが思う感情。