双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 結婚だってできるかもしれない。

〝父親〟という存在が、子どもたちに必要であるならば……。



「おてて離しちゃだめよ」

「はーい」

 昼寝から目覚めた子どもたちと散歩に出かける午後三時半。

 小さな一歩に合わせ、のんびり歩いて向かう先は、広くはないけれど子どもたちが思い切り走れる貴重な公園だ。

 公園に着くなり、ふたりはキヤッキャと追いかけっこを始める。

 見守る私はベンチに腰を下ろし、腕を掲げて大きく伸びをした。

 澄み切った秋空は綺麗な水色だ。

 南に向かう飛行機は国内線だろうか。細い雲を後ろに伸ばしながら飛んでいく空の船を見つめ、懐かしい〝彼〟の面影を重ねた。

 もし結婚したらこんなふうに彼との想い出を偲べない。だから今だけ。決して未練なんかじゃないと自分に言い聞かせる。

彼は、青空がよく似合った。

 すらりと背が高くて、いつも微笑みを浮かべたような目もとをしたあの人には、どこにも陰りなんてなくて、太陽のような人だった。

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