双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 中耳炎、派手じゃないという風貌は一致する。

 そのときはまだ茉莉の名字は知らなかった。

『エリートパイロット狙いっていうのは?』

『国際線のパイロットしか相手にしないんだよ。俺の恋人がパーサーでさ、マリちゃんはファーストクラスに目当ての客がいないとやる気がなくて、ミスも多いから困るって、よくこぼしてた』

 そうだったのかと、納得はできなかった。

 確かに彼女は少しそそっかしいところはあるが、考えはしっかりしている。

 会った日数でいえば両手数えられる程度だし、彼女のすべてを知った気になっているわけじゃないが、俺の知る限り茉莉はどこまでも純粋で真面目なはず。

 だが、目の前にいる友人もまた信頼できる男だ。彼が理由もなく嘘をつくはずもない。

『彼女がどうかした? あ、もしかしてそっちに転職したのか?』

『いや、そういうわけじゃない。ただ、ちょっとね』

『気をつけろよ。航輝はもろに狙われるタイプだしな。まあでもお前は騙されるタマじゃないか』

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