双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 いずれにせよ、ズルズルと付き合うのは性に合わない。

 スマートフォンが故障したとき、ちょうどいい機会だと思った。茉莉との関係を今後どうすべきか、真剣に考える時期にきたと。

 麗華との縁談がまことしやかに聞こえるようになったのもその頃だ。

 もとから恋愛体質ではない俺は、結婚相手にもこだわりはなかった。家同士の関係もよく、麗華がどうしてもと望むなら結婚を受け入れるべきなのだろうかと、考えていた。

 だがどうしても麗華に対する嫌悪感が拭えない。

 堂々と嘘をつくところも、なんに対しても努力をしないのも。女性としてというより、人として彼女を受け入れられなかった。

 年齢を重ねるごとにその思いは強くなり、そして茉莉に会った。

 茉莉には、なんとなく放っておけないところがあった。

 笑顔は明るいのに、俺が手を差し伸べなければ、まるで陽炎のように消えてしまう儚さが漂っている。

まるで最初から、なにもかもをあきらめているかのように。

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