双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 ここストックルームは店内からだと入り口が見えにくく、扉はないので物音は聞こえるし、目線には横に長い飾りガラスがあるので、忙しくなるとすぐに対応できるようになっている。片隅にある事務机の椅子に腰を下ろし、パソコンを立ち上げた。

 ブラウザを開くとフェリーチェの文字が浮かび上がる。開いた画面はフェリーチェのネット通販の管理画面だ。

 二年前から私の提案でネット通販を始めた。

 現在扱っているのは数千円から一万円程度の小物で、ベネチアングラスのアクセサリーがほとんどだが、順調に売上を伸ばしている。

 今日も無事注文が入っているようで、ホッと胸をなで下ろした。

 三年前、私がここで働くと決めた当時、祖父母はいずれこの店を貸店舗として手放すつもりでいたが、私たち親子のために、もうひと踏ん張りしようと決意してくれた。

 この店と祖父母の協力がなかったら、今の幸せな毎日はない。どうなっていたかと思うと、それだけで気持ちがつらくなる。

 妊娠当時、私は一人暮らしだった。

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