双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~



 着陸に備えランディング・ブリーフィングが済むと、機長が「神城」とあらためて声をかけてきた。

「君にまかせよう」

「はい」

 呼吸を整え宣言する。

「アイ・ハブ・コントロール」

そして操縦桿を握った。

「ユー・ハブ・コントロール」

 機長がチェックリストを読み上げ、ひとつひとつ順番に確認する。着陸用フラップをセット、ギアダウン――。

「以上。チェックリストコンプリート」

 管制からの着陸許可が下り、降下をはじめる。

 風は正面、パワー、スピードともに問題ない。

 雲の切れ間から滑走路が見え始め、アプローチライトがくっきりと現れる。

「ファイブハンドレット」

 機長がコールアウトをする。接地はまもなくだ。

「チェック」

 集中力を高め、計器に視線を走らせスキャンする。降下率、速度、トラック、風、異常なし。だが――

 接地直前で操縦桿がガタガタと揺れ、急速に機体が沈み始める。

 やはりきたか。

< 116 / 292 >

この作品をシェア

pagetop