双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 このまま成長し、パイロットになりたいと言い出すのかな。

 キャプテンになった大空と翔真が操縦桿を握る飛行機で空を飛ぶ。そんな日が来たらどんなに幸せか。想像だけで胸が弾む。パイロットスーツも帽子も、きっととても似合うはずだ。

 父親に似て。

「ママー、ジュース」

「はいはい」

 追いかけっこが終わり、ベンチに座って飲み物補給。

「ゆーやけ」

 晩秋ともなると日は短い。ほんのりと西の空が色づき始めた。

「綺麗だね」

 切ないほどに。

「うん! きれー」

 公園内には親子連れも何人かいて、父親に肩車をされている男の子の姿もあった。

 力強い父の手に支えられて、うれしそうにはしゃぐ。親子ともども楽しそうな笑顔を浮かべ、とても幸せそう。

 よく見る光景なのにさわさわと心に波が立つのは、きっと母が持ってきた縁談のせいだ。

 戸籍上、この子たちに父親はいない。誰にも相談せず、私はひとりでシングルマザーの道を選んだ。

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