双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
「茉莉、明日も来るって言ってたけど? そんなに親しいの?」

「ち、違うわよ」

 必死で左右に頭を振る。

「コーヒーを出したら気に入ってくれて。毎日でも飲みたいって」

「まあ、うちのコーヒーはそこらのカフェにゃ負けないからな」

 自慢げに胸を張る祖父の横で、なにか言いたげに祖母は「へえ」と目を細める。

「さあ、ママはお仕事だから行きましょ」

 それぞれに子どもたちを抱っこして、祖父母は奥のエレベーターに向かう。

 ひとり残った私は、入り口前に呆然と立ち尽くした。

 どうしよう。なにをどうしたらこの状況を乗り越えられるの?



 店に入ろうとするお客様にハッとして我にかえった。

「いらっしゃいませ」

 ひとまずお客様の様子を伺い、晴美さんが接客を始めたのを見届けて、スタッフルームに飛び込んだ。とにかく紗空に伝えなきゃいけない。

【はーい】

 明るい声で電話に出た紗空に、手短に事情を説明する。

【えっ! 子どもたちに会っちゃったの?】

< 146 / 292 >

この作品をシェア

pagetop