双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
「そうなの。しかもね、おじいちゃんが年齢まで言っちゃって」

 紗空が絶句しているのがわかる。

 彼によく似ている子どもたちの顔に、飛行機好きに年齢。航輝さんは、きっとなにかを察したはずだ。

【どうしよう茉莉。私、燎さんに問い詰められたら黙っている自信ない……】

 絶望に頭を抱える。

 とはいえこれ以上、紗空を巻き込めない。

「うん。そうだよね、わかった。私も覚悟を決める」

 いや嘘だ。とても覚悟はできないが、とりあえずそう言うしかない。

「ご主人に聞かれたら正直に言って大丈夫だからね。でも、私がどうしても隠したいっていうのも付け加えてほしい」

【うん。婚約者を悲しませたくないのよね?】

「そう。自分の幸せの影で誰かが泣いているというのは、どうしても嫌なの」

 それから少し話をして電話を切った。

 おそらく彼は、紗空の夫に確認すると思う。

 明日また来ると言ったが、もし来たとしたら、きっと子どもについて聞いてくるだろう。

 もし来なかったら……。

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