双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 ロックグラスをくるくる回した仁は首を傾げる。

「どうかな。まったくピンとこない」

 だよな、と思う。聞いておいてなんだが、彼がおとなしくひとりの女性に収まるイメージはない。

「で? 結婚がどうかしたか? そんな質問をするからにはなにかあるんだろ」

「うん。結婚しようと思うんだ。家を買って家庭を持とうかなってね」

 茉莉をなんとか言いくるめて。

 目を剥いた仁はあらためて俺に上半身ごと向き直り、不思議そうに俺を見る。

「俺はお前こそ一生独身かと思っていたぞ。もしかして麗華とか?」

「いや、違う」

 麗華は青扇学園出身ではなくインターナショナルスクールの出身だが、社交界を通して仁も麗華とは顔見知りだし、怪我についても知っている。

 それが原因で俺が許婚とされていることも。

「あっ、わかったぞ。あれか、エーゲ海の」

 物覚えのいいやつだ。

「当たり」

「見つけたのか? 消えたんだったよな?」

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