双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
「それが偶然、燎の奥さんの親友でね、この前ここでやった燎のパーティーに来ていた」

「マジか。あー、あの美人だな。ワインレッドのワンピース」

 すぐに思い当たったらしい。

「珍しくお前がナンパしてるのかと思ったぞ。そっか、彼女か」

 と、そこでマスターが俺の前に皿を差し出した。

「マッシュルームのセゴビア風と、サーモンのエスカペッシュです」

 大きな皿の上に小鉢がふたつ。それぞれにマッシュルームとサーモンが盛りつけてある。

 エーゲ海での出会いを彷彿とさせる地中海料理に早速手を伸ばす。

「しかし、仁はなんでもよく覚えてるな、感心するよ」

「なに言ってんだ。お前から女の話をしてきたのは、後にも先にもあのときだけだ」

 考えてもいなかったが、彼がそう言うからには、そうなんだろう。

「パイロットは女の子に人気だからなぁ。航輝くんもパイロットになるんでしょう?って昔からモテてたのに、お前ときたらまったく興味を示さないし」

「それは俺じゃなくてパイロットが好きってやつね」

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