双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~



「ママー。おにーしゃん、まだ?」

「まだあ?」

 朝ご飯を頬張りながら、大空と翔真が期待に満ちた目を向ける。

「まだお店開いてないから、もうちょっと待とうね」

 現在朝の七時。昨日と同じ時間に来るとしたら午後の三時頃だが、はたして来るか。

 彼が来なかったら子どもたちは、さぞかしがっかりするだろう。

 夕べ紗空から電話があった。

 やはり航輝さんから燎さんに電話があって、燎さんは彼と会い、子どもは彼の子だと話したそうだ。

【婚約者の存在を気にして身を引いたそうだって言ってた。近くで私も聞いていたの】

 電話の途中、紗空は『婚約者の存在をどうやって知ったのか聞いているか?』と聞かれたらしい。

 彼女は私が以前話した通り、グランドスタッフの友人に会いに行ったときに、航輝さんを見かけて、その友人から婚約者の話を聞いたと答えた。

 妊娠がわかって会いに行ったとき、マンションで女性と出くわした話は、紗空にも言っていない。紗空には嘘をつかせずに済んだが……。

 彼に聞かれたらどこまで正直に言うか。答えは出ていない。

< 167 / 292 >

この作品をシェア

pagetop