双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 そろそろ時間だ。子どもたちを祖母に預けて、着替えなきゃいけない。

「さあ、ひいばぁば のところへ行こうか」

「うん」

 私たち親子は、祖父母と同じビルで暮らしている。

 祖父母と言っても、亡くなった父方の祖父母なのですでに戸籍上は他人だ。

 とはいえ、今はこの場所こそが私の本当の意味での実家だと思っている。

「気をつけて、ゆっくりね」

 子どもたちにはまだ高い一段を、手を繋ぎ「よいしょ、よいしょ」と、かけ声をかけながら上る。おぼつかない足取りを見守りつつ、玄関脇の階段を上りきると、祖父母のいる三階に着く。

 ここは祖父母所有の店舗兼住宅の五階建てビルだ。ビルの一階は、祖父母が経営するイタリア輸入の服や雑貨を扱うショップ『felice(フェリーチェ)』 、私の職場だ。

 祖父母は三階と四階に住んでいて、私たち親子は二階に住んでいる。

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