双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 当面の目標はこの敬語を無くすこと。一気に三年前まで戻ってほしいとまではいわないが、リラックスしてほしい。

 できれば自分から自然な形で緊張を解いでくれるといいが。

「荷物、持つよ」

 大丈夫ですと遠慮する彼女から、スーツケースを受け取る。

 その代わり片手が塞がるので、真ん中に大空と翔真、外側に俺と茉莉、横一列になる。幅を取ってしまうのがたまに傷だが、人通りは少ない。駐車場までの短い距離だ。かわいい息子たちに免じて許してもらう。

 はやくも親バカ全開ぶりに、友人たちの呆れ顔が目に浮かぶようだ。。

「茉莉、ふたりだと同時におんぶも抱っこもできないよね? どうしていたの?」

「うーん。ひとりはおんぶ紐でおんぶして、ひとりは抱っこしてって。グズったときにはそうしてました」

 なるほど、そうなのか。やっぱりグズったりするんだな。

 子育て雑誌を読み込んできた。双子についてもどうやって抱くとか調べたから、おんぶと抱っこも、グズるのも予備知識としては知っていたが。

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