双子パパは今日も最愛の手を緩めない～再会したパイロットに全力で甘やかされています～

　夜泣きにいやいやと、いろいろあっただろう。眠そうな顔をして、それでも笑顔であやす茉莉が目に浮かぶ。

「那須のアウトレットにも寄ってみよう。足りない物は買えばいいから安心して」

「はい」

　コインパーキングに到着し、トランクに荷物を載せて、後部座席にセットしたチャイルドシートに子どもたちを座らせる。

　本当はシートも自分で選びたかったが、時間がそれを許さず我が家の執事に頼んだ。彼には事情は後で説明すると伝えてあるが、おそらくもう調べてあるだろう。

　もちろんいずれは親に紹介するつもりだから、バレたところで問題はない。

「子どもたち、雪だけじゃなくて初めての旅行なの」

　助手席に乗った茉莉がうれしそうでよかった。

「そうか。はしゃぎすぎて熱を出しても小児科は調べてあるから心配ないよ」

　目を丸くする茉莉の手に、俺の手を重ねる。

「色々手を尽くしたつもりだが、多分十分じゃないと思う。少しでも心配があれば言ってほしい」

　茉莉は少し驚いたように俺を見つめてから、弾けたように笑みを浮かべた。

「わかった。ありがとう」

　さあ、出発だ。

　俺たちの初めての家族旅行に。