双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 サプラーイズと、手のひらを両頬の脇で開き、おどけてみせる。

「ふたりのお父さんなの。大空と翔真をびっくりさせたくて、今まで黙ってた。ごめんね」

 こんなに優しくて素敵な人がふたりの父親なんだよ。

 ごめんね、早く紹介できなくて。

 私の唐突な告白に、航輝さんはハッとしたように目を剥いたけれど、弾けたように私を抱きしめた。

「ごめんなさい。勝手に――」

「ありがとう茉莉。本当にうれしいよ」

 子どもたちは航輝さんが大好きだから、飛び跳ねて喜んだ。

「パパ」

「大空」

「パパ、パパ」

「翔真」

 交代で高く抱き上げてもらっている。

「ごめんな。今まで会いに来れなくて」

 よかったね大空、翔真。

 三人ともすごくうれしそうで、見ているだけで胸がいっぱいになる。

 込み上げる熱い思いを抑えきれそうもなくて、「コーヒー買ってきますね」と告げてその場を離れた。

 気持ちを落ち着けて自販機のボタンを押す。子どもたちのジュースは持ってきてあるから、私と彼の二人分。

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