双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
「幼稚園に通うようになれば、少しずつ私がいなくても大丈夫になると思うんです。できれば月に何度か会わせてもらえれば――」

 私はそれで十分。今日だけ指輪をはめて、家族というものをたっぷり味合わせてもらったもの。

 赤いTシャツをときどき着て元気をもらうから。

 あんなに航輝さんに懐いているんだもの。私がいなくても。

「はぁー」

 航輝さんは、大きなため息をつき、右手を額にあててうつむく。

 やっぱりダメか。

「じゃあせめて、月に一度」

「茉莉」

 突然航輝さんが私の両頬を包み込んだ。

「なに言ってるの? 君はどこに行くつもりなんだ?」

 優しい人だから私を見捨てられないんだろう。

 心配かけないように、精一杯の笑顔を作る。

「私は結構、対応力があるんですよ? どこででも生きていけます。なんだったらあらためてグランドスタッフに挑戦――」

 唐突に抱き寄せられた。

「君が必要なんだ。俺には君が必要なんだよ? 茉莉」

 航輝さん……。そんなふうに言わないで。

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