双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 開口一番、義父は怒鳴った。

【一千万。お前が払え】

『それは、どういう?』

 義父は大福さんから、結納金として一千万を受け取る約束をしていたらしい。

【大福さんはな、お前のようなアバズレをもらってくれるって言ってくれたんだぞ? その金がなきゃ店のは倒産だ! お前は家族を路頭に迷わせる気か!】

『どうして私が責任をとらなきゃいけないの?』

 突き放すつもりだった。

【お前の子どもの父親、パイロットなんだってな。大福さんが調べたそうだ。最近お前のまわりをチョロチョロしてるらしいな】

 唖然として返事ができない私に、義父は言ったのである。

【エリートパイロットでいいとこの御曹司なんだって? 週刊誌は喜ぶだろうな。そういうの】

『やめて! なにをする気なの!』

【大事な娘を孕ませて、責任も取らないクズは、世間様に制裁を受けて当然だ】

『関係ないの。関係ないのよあの人は。お願いだからやめて」

 とにかく近いうちに金沢に行くからと約束し、電話を切った。

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