双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 航輝さんを巻き込んではいけない。

 子どもたちを預けて、私が解決しなければいけない問題だから。

 これは私の宿命なのだ。愛する人を、絶対に、守らなきゃいけない――。



 ルルルと置き電話が鳴った。

「おっと、まずいね」

 結構な音だから、子どもたちが起きてしまう。

「茉莉、話はまた後でな」

「はい」

 立ち上がり際、航輝さんは私をぎゅっと抱き寄せて、涙を指先きで拭って微笑んだ。

 しっかりしなきゃいと自分に言い聞かせ、私も彼の後を追う。子どもたちのためにも今日は泣いている場合じゃない。

 航輝さんは電話の子機を持ち、子どもたちが寝ている場所から離れた場所へと行く。

 私はまっすぐ洗面所に行き、涙を拭い、泣き顔になっていないか確かめた。酷い顔ではあるが、指先で口角をあげてみる。

 がんばれ私。なにも世界が終わるわけじゃないわ。

 パンパンと両頬を叩いて、寝ているふたりの様子を見に行くと、ふたりともぐっすりと寝ていた。

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