双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 よかった。この様子ならもう少し起きないだろう。

 そっと離れて、ダウンジャケットを羽織り、掃き出し窓からウッドデッキへと出た。

 空気は冷たいけれど、屋根が迫り出しているせいか床に雪はない。右も左も一面の雪景色で、細い枝にも雪がついていてキラキラ輝いている。

 冷たい風が気持ちを落ち着けていく。

「風邪ひくよ」

 航輝さんが出てきた。

「冷たいけど、気持ちいいです」

「鼻が赤くなってるぞ」

 私の鼻を人差し指でチョンとつつき、彼はクスクスと笑う。

 赤いのは泣いたからだ。

「どれ、雪だるまでも作るか」

 航輝さんは手を伸ばして雪を掴み、おにぎりのように丸めて手すりの上に置く。

 同じように繰り返して雪の玉を作り雪だるまを四つ作った。

 大きめの二つを並べて、小さい二つの雪だるまをその前にくっつける。

「いいねー。ちょっと写真撮ろうか」

 雪だるまが一緒に映るようにして、「ほら、茉莉も」と引っ張る。

「嫌ですよ。鼻が赤いのに」

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