双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 大福という男はそれほど悪い評判はなかった。なぜ子どもがいる茉莉との結婚を望んだかはわからないが、彼は裕福だ。母が娘を心配し、離婚前に娘の幸せを思って、彼を勧めた心情はわからなくもない。認めたくはないが。

「あの……いつ離婚を決意されたんのか、差し支えなければうかがっても」

「結婚してすぐです」

 彼女は笑った。すぐに子どもができてしまって、ずっと時期を待っていたのだと。

「茉莉の妹と弟がいますし、育てるための力を蓄えていました。子どもたちも分別がつくだけ成長し、ようやく貯金もできましたしね」

「では、慰謝料、山盛りふんだくりましょう」

 そういうと彼女は楽しそうに笑った。

 和菓子屋で培った技術で、これから小さな店を開くという。

 もちろん俺は協力を惜しまない。

「そういえば、俺が茉莉の子どもたちの父親だと突き止めたようで、脅迫してきましたよ」

「ええ? なんですって」

「逆に脅してやろうと思います。電話は録音したしね。安心してください、慰謝料は上乗せさせますよ」

 あははと笑い合った。

< 274 / 292 >

この作品をシェア

pagetop