双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 今だって彼の話題になっただけで、気持ちが軽くなった。

 私は子どもたちと離れたくないし、これからは彼とも相談しあって乗り越えていこうと決めたのだ。

 義父と会って交渉が決裂し、最悪の場合は正直に航輝さんに助けを求めようと思っている。振り返れば彼がいると思うだけで、負ける気がしない。

 私は大丈夫。鬼に金棒、百人力だ!

 と、そのときスマホが鳴った。

 表示された義父という文字に、一瞬息を呑んだがスマホを持って誰もいない部屋に移動する。

 大きく深呼吸をする。ちょうどよかった。あさって行くと伝えればいい。

「はい」

【もしもし、茉莉か。俺だ、すまなかった】

 え? どういうこと?

 また怒鳴られると思ったのに、むしろ謝られた。

 あの義父が素直に謝罪するはずがない。いったいなにを企んでいるのか。訝しみ、ろくに返事もできないでいるうちに、【茉莉】と、電話は母に代わる。

「え? お母さん?」

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