双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
【今までごめんね。お母さん離婚するの。もうこの男の話は無視していいからね】

「ふへっ?」と素っ頓狂な声が出た。

 母は今なんと言った? 離婚?

「り、離婚って? お母さんが?」

 私はまだ結婚すらしていないしと、混乱する。

【そうよ。この人ったら、お店のお金を使いこんで愛人につぎ込んでいたの。今後は弁護士さんを通して進めるわ。茉莉はなにも心配しなくていいからね】

「あ、そ、そう」

 状況から察するに、今その話し合いの真っ最中なんだろう。詳しくはまた後でと電話を切る。

茫然としたまま、リビングに戻る。

「どうしたの? 茉莉?」

「え? あ、それがね」

 母の言葉を反芻する。

「お母さんが、離婚するって」

 聞き返したのだから間違いない。

「えっと。それは喜んでいるの? それとも」

 それは当然――。

「ばんばんざいよ! あはは、最高よ! おばあちゃん!」

 ただし、ぬか喜びに終わるという覚悟はした。あの義父がそう簡単に折れるとはどうしても思えないから。

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