双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 言いながら、母も私も泣いた。

 妊娠だって、知ってからは駆けつけてくれた。祖父母に泣きながら礼を言ってくれたのだ。

 どうして母を責められるだろう。私のために再婚したはずが、乳飲み子を抱えて身動きできなくなったのだ。母の辛さは十分わかっている。

 むしろ心配だったのは妹と弟だ。

 私にとっては悪魔でも彼らには実の父である。離婚で辛い思いをしていないか心配だったが、ふたりとも父親にはすっかり愛想をつかしているらしい。

【ふたりとも離婚には賛成よ。浮気も気づいてたしね】

 それを聞いてホッとした。

 なにより驚いたのは、航輝さんの話だった。

 義父が電話をかけてきた、あの場に彼もいたとは。

【航輝さんが、弁護士さんと一緒に会いに来てくれたときは、本当に驚いたわ。あの人、航輝さんになにかやらかしたらしくてね。それ便乗して用意してあった離婚届を突き付けたってわけ。ふふ】

 驚く反面、楽しそうな母の様子につい笑った。

【落ち着いたらまた会いに行くわね】

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