双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
「わかった。待ってるね」

【航輝さんと幸せにね】

 うん、と答えながら涙声になる。

 母も泣き、私たちを苦しめた長い呪縛が、うれし涙とともに解き放たれた。

 電話を切ってホッとすると、クスッと笑った。

「航輝さんったら、いつの間に」

 彼が子どもたちに後ろ髪を引かれつつ、どうしても行かなきゃいけなかった用事は、金沢行きだったのだ。

 義父は、私があんなに止めたのに、きっと恐喝したんだ。

 そして義父は、あっけなく叩きのめされたのだ。航輝さんに――。

 なんだかおかしくて笑って、笑いながら涙が溢れてくる。

 呆れるやら悲しいやら、うれしいやら。

 涙をぬぐいつつティッシュを取ると、またスマートフォンが音を立てた。

 表示された名前にハッとする。航輝さんからだ。

【茉莉、今大丈夫?】

「はい。あ、航輝さん、ちょうど今、母から聞きました」

【バレたか】

 あははと笑ってから、彼は勝手に動いて悪かったと謝った。

< 283 / 292 >

この作品をシェア

pagetop