双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 そう言って重ねる唇から伝わる熱が、冷める日なんてくるはずがないと、思いたかった。

 宝物のように、私の頬を撫でる彼の優しさが、いっときの幻なんかじゃないと自分に言い聞かせた。

 彼を心から愛していたから。

 秘密が多かった私たち。でも、いつかは、いつか――。





「うっ」

 嗚咽がもれそうになり、苦しさに目が覚めた。

 見慣れた天井にホッとする。

 夢か……。

 左を向けば、レースのカーテンを透った穏やかな光が、子どもたちの寝顔に降り注いでいる。このかわいい寝顔を見守っているうちに、眠ってしまったようだ。

 気持ちが落ち着いたところでゆったりと息を吐き、そっとベッドから下りる。

 子どもたちを起こさないよう、忍び足で寝室を出て、乱れた髪のゴムを外し、手櫛でまとめながらキッチンに向かう。


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