双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 あの頃私は、飛べなくても飛行機が見える場所で、フライトに携わる仕事がしたいと迷っていて、彼に話を聞いてもらっていた。妊娠がなければ挑戦していたと思う。航輝さんと一緒に空港での仕事をしたいという夢を見かけていたから。

 でもそれも卒業した。今は夢も飛行機も、手の届かない遠くで見るものだ。

「お客さんとして、たまに飛行機に乗れるだけで十分かなって」

「そう」

 にっこりと笑みを浮かべてうなずく彼につられ、頬がゆるむ。

 こんなふうに話していると、まるでデートでもしているような気がしてくる。

「三年は長いな。君は随分変わった」

 ふと彼を見ると、意味深な視線を向けられてドキッとする。

 どういう意味なの?

 子どもを産んで、育児疲れで老けたとか?

 視線を泳がせて我が身を見下ろしてみる。一時はガリガリに痩せていたが、今は健康も取り戻し、服のサイズも彼と会っていた頃と変わらない。お腹も出ていないはずだけれど……。

「綺麗になった」

「えっ?」

 思わず聞き返した。

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