双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
「それで、どうして連絡先を消したんだ?」

 一転して再び真顔で聞かれ、またしても戸惑う。

 それは私が別れを選んだ核心部分だ。三年経ったとはいえ、こればかりは正直に言いたくない。

「もしかして、私に連絡したんですか?」

 ひとまず質問で返して、皮肉に笑ってみせる。

「待てど暮らせど既読は付かないし、てっきり私たちは終わったんだと思ってました」

 一方的に連絡を絶ったのは私のせいだけじゃない。

 あのとき彼が返事をくれたなら、私は連絡なしにマンションには行かなかったし、妊娠の報告をできたはず。

「ロンドンに着いてすぐスマホが壊れたんだ」

 えっ? 壊れた?

「スマートフォンが?」

「そう」と、彼はうなずく。

 意外な答えに動揺する。私の想像にはなかった答えだ。

 彼の説明によると、仕事に支障がないようには対策を取ったが、スマートフォンを修理したのは帰国して時間ができてからだという。

「なんだかんだで少し時間がかかった。途中フライトもあったし」

 そんな……。
< 63 / 292 >

この作品をシェア

pagetop