双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 時間まであと一時間。紗空に電話をかけて、夕べの話をしようと思ったところに、ちょうど紗空の方から電話があった。

 夕べ航輝さんのもとを離れて紗空のもとに向かったが、彼女を巻き込みたくなくて、あえて彼の話はしなかった。

 彼も友人たちと話をしているようだったし、私は紗空にだけ、こっそり帰ると告げて早めに家路についたのである。

【それで、ちびちゃんたちの件は神城さんに言ったの?】

 スマートフォンから聞こえる紗空の声は、とても心配そうな色を帯びている。

「言ってない」

 航輝さんと話をしている最中、一度は言いかけた。やはり黙っているのはよくないと思い、実はあなたの子を産んだと、喉もとまで出かかったが――。

「すごく迷ったんだけど、それで傷つく人がいると思うとね」

【そうか……】

 ふぅと吐く息が重く沈む。

 彼だけの問題ならまだしも、婚約者の耳には入れたくない。

 その気持ちは三年前と一緒で、今でも変わらない。

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