双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 となると、あの当時、彼には私以外に会っている女性がいたのだ。

 がっくりとうなだれた。

「少なくとも私じゃない」

「だよね。不倫もだけど、まったく男っ気のなかった茉莉とは、ちょっとかけ離れてる」

 航輝さんは、婚約者もいるのに私以外にも会っている女性がいた?

 でも、ある意味予想通りだ。彼はびっくりするほどキスが上手だし、それから先も。

 下着を外すのも上手で、彼の動きに迷いはなくて。経験豊富じゃなきゃ、あんなふうには……。

 共に過ごした夜を思い出しそうになり、慌ててティーカップを手に取る。

 ダージリンを口にして、フッと息を吐き苦笑した。

彼がモテないわけがない。

 噂の女性はきっとエーゲ海のクルーザーで一緒にいた女性のように、グラマラスで色っぽい人なんだろう。

 つきあっているというか、セフレというか、彼にはそういう女性が複数いて、私も結局そのうちのひとりだったとしても、なんら不思議はないのだ。

「その女性は消えたんだそうよ」

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