双子パパは今日も最愛の手を緩めない～再会したパイロットに全力で甘やかされています～

「でも紗空、三年前っていうだけじゃわからないよ。私と彼が逢っていたのは、エーゲ海から日本に帰ってきてまで、全部合わせても三カ月ちょっとだし」

　私と知り合ったのは、その女性が消えた後かもしれない。あるいはその前か。

「それはそうだね。茉莉と神城さんとの関係を詳しく話していいなら、燎さんに色々と探ってもらえるんだけど……」

　紗空に伺うように見つめられて、ちらりと心が動く。

　知りたい。とっくに婚約者と結婚したと思っていた彼が、なぜ結婚していないのか。私をどう思っているのか、すごく知りたい。

　彼が言う通り、スマートフォンが壊れただけで、私を切り捨てたわけじゃなかったとしたら……。

　心の中で問いかけて、胸の奥が苦しくなる。

　気持ちを落ち着けるように、紗空が持ってきてくれたアーモンドケーキを口にして、美味しさを味わいながら思う。

　でも結局、彼は婚約したままなのだ。