双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
婚約が破談になっていないからには相応の理由があるはずだ。
「紗空。もし、私が婚約者の立場なら、悲しいし、傷つく。だって幼い頃から彼と結婚するって、信じていたんでしょ? 無視は、できないよ……」
ふいに涙がこみ上げてきて、声が震える。
「茉莉……。わかった。わかったよ」
紗空も泣いて、私も泣いて。そして私たちはお互いの泣き顔に笑った。
「そうそう。写真を持ってきたの!」
航輝さんが青扇学園に通っていた頃の写真だった。
「びっくりしちゃったわ。全然印象が違うんだもの」
紗空が指さす人物を見て驚いた。
「え? もしかして、この人?」
「そうなんだって」
信じられない。まったく別人だ。
彼は完全に目が隠れるほど前髪を下ろし黒縁のメガネをかけている。雰囲気も暗く、姿勢も悪い。
「女除けなんですって。綺麗な顔がわからないように。どうりで私も見た記憶がないと思ったわ。でもメガネのこの人なら確かに覚えているの。いつも猫背でうつむいていたから」
「紗空。もし、私が婚約者の立場なら、悲しいし、傷つく。だって幼い頃から彼と結婚するって、信じていたんでしょ? 無視は、できないよ……」
ふいに涙がこみ上げてきて、声が震える。
「茉莉……。わかった。わかったよ」
紗空も泣いて、私も泣いて。そして私たちはお互いの泣き顔に笑った。
「そうそう。写真を持ってきたの!」
航輝さんが青扇学園に通っていた頃の写真だった。
「びっくりしちゃったわ。全然印象が違うんだもの」
紗空が指さす人物を見て驚いた。
「え? もしかして、この人?」
「そうなんだって」
信じられない。まったく別人だ。
彼は完全に目が隠れるほど前髪を下ろし黒縁のメガネをかけている。雰囲気も暗く、姿勢も悪い。
「女除けなんですって。綺麗な顔がわからないように。どうりで私も見た記憶がないと思ったわ。でもメガネのこの人なら確かに覚えているの。いつも猫背でうつむいていたから」