双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 噂の出どころはわからない。どこからともなく、じわじわと広がったらしい。俺はCAからお祝いを言われて初めて知ったが、湖山さんが教えてくれた。

『神城、結婚の噂が広がってるぞ。俺は否定しておいたが、本当に結婚する気がないなら、もう一度ちゃんと断ったほうがいいんじゃないのか?』

 さすがに看過できず麗華に連絡した。

 会ったのは偶然うちの実家で顔を合わせて以来で、半年ぶりだったと思う。食事をしながら話をするうち、俺は自分の置かれている状況を初めて知った。

『だってこうちゃん約束したじゃない。私と結婚するって』

『その話は三年前に済んだだろう?』

『約束は約束よ』

 呆れたことに麗華は本気で俺と結婚する気でいた。

 子どもの頃、ただ彼女が池に落ちそうになったのを助けただけだ。以来彼女にとって俺はヒーローになり結婚すると言い張っている。

 なにしろ小学生の頃だ。もしかすると返事をしたかもしれないが、記憶にもない。

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